「私、今、不倫をしています」そう告白をしてくれたのは、28歳の美咲さん。
「不倫?」
「正確なことを言うと、ダブル不倫です」
夫と子供のいる美咲さんは、妻と子供がいる相手と恋に落ちました。彼女を不倫へと突き動かしたもの、それは、何だったのでしょうか?
ダブル不倫の始まり~既婚者だった彼との出会い~
私が6歳年上の彼と出会ったのは、以前働いていた会社です。
笑顔が素敵な同僚がいるなぁと思うくらいでした。
私と同じように彼も中途入社。
それも3カ月前に入社したばかりということで、先輩というよりも同期入社といった雰囲気で接してくれました。
実は、入社当時、仕事ばかりで家庭を顧みない夫と、子育てのことや夫婦関係のことで揉めている真っ最中。
そんな中で出会った彼。
爽やかな笑顔の彼に「この笑顔が毎日見られるなら、仕事、頑張れそうだなぁ」と思えたものです。
既婚者であることを知りながら…ダブル不倫への序章
夫と子育てのことや夫婦関係のことについて話をしたくても「忙しい」「時間がない」「また後にしてほしい」という返事ばかり。
子供のことが大切じゃないの?
私のことは、もうどうでもいいの?
子供や夫婦のことは私達二人の問題じゃないの?
そんな言葉を夫に投げかけても、戻ってくる返事は「忙しい」「時間がない」「また後にしてほしい」。こんなやり取りを続けているうちに、夫は「忙しいから会社に泊まる」「出張先で泊まる」と言って、帰ってこなくなりました。
私は夫に無理難題を言っているの?
子供のことや二人のことを解決したいだけなのに……。
私の存在は重たいことなの?
私が前の会社に転職した後くらいから、夫婦関係がさらにギクシャクし始めました。
家庭が不安定だと、仕事でもミスをしてしまいがちで、私は上司や同僚に謝罪をする日々。
私、生きている価値のない人間ないのかも。
そんな感情すら芽生え始めてきた頃、頻繁に声をかけてくれるようになったのが、彼でした。
「どうした? 仕事のことなら気にしなくて大丈夫!」
いつもと同じ、彼の爽やかな笑顔を見た瞬間、涙が止まらなくなりました。
「そんなにキツい? 俺からみんなに言おうか?」
「そうじゃないんです。その優しさが。嬉しくて。実は夫婦関係が上手くいってなくて。仕事も上手く行かなくて。もう生きているのが辛いんです」
ポツポツと、心の中に溜めていたことを彼に話しました。本当は夫に話すべきことなのに。
でも、私の顔を笑顔で見つめ、うなずき、「そうか…そうなんだ…」と聞いてくれる彼に包容力を感じました。
「いつでも声をかけて。話を聞くことくらいしかできないけれど。」
そう言ってくれた彼のことを、だんだんと好きになっていきました。
もう止められない!ダブル不倫へと突き進んだ出来事
彼のことが好きという気持ちが増す一方、夫との関係は冷え切っていくばかり。今のままでは何も良いことなんてないと思い、この頃から「家庭が崩壊している。離婚して欲しい」と、私から夫に話をするようになりました。
最初の頃は離婚の話を切り出しても「忙しい」「時間がない」「また後にしてほしい」の繰り返しでしたが、私がしつこく離婚の話をしているといつものフレーズに一言付け加わりました。
「離婚はしない」
話を聞いてくれない。でも、離婚はしてくれない。
八方塞になったと感じました。
そして、自分の行く道は一つしかないと。
そんな行動を予想していたのでしょうか、彼からメールが届いたのです。
「最近また顔色が悪いけど、大丈夫?」
神様からのメールかと思いました。
縋りたい。
メールが彼からだと思った瞬間、彼に電話をかけていました。
「夫は離婚してくれない。家庭は冷え切ったまま。生きているのが辛い」
泣きながら彼に話をしたら、彼が私を自宅近くの公園に誘い出してくれました。
公園で彼の顔を見た瞬間、涙が止まらなくなりました。そして、自然と口から彼への想いが溢れ出ました。
「あなたのことが好きです」
そうしたら、彼も一言。
「俺も美咲さんのことが好きでした」と。
彼が持ってきたココアを飲みながら話を聞いたところ、彼の家庭も冷え切っているそうです。もう3年も。
「お互い、すぐには離婚できなさそうだけど、二人の関係を大切にしていこう」
そう約束をして、私達の不倫関係は始まりました。
ダブル不倫から2年…今の状況は?
相変わらずお互いの離婚は成立していませんが、私の夫も彼の奥様も、私達の不倫関係を認めている状況です。
彼との関係が深まれば深まるほど、彼との幸せな未来を考えてしまいます。
でも、お互いの相手をしっかり説得して離婚をしなければ、私達に幸せな未来が待っているとは思えません。
今は、ちょっとしたメールのやり取りや公園でのピクニックが、私の生き甲斐です。
そうそう。
あとから聞いた話ですが、彼は私が入社したその時に一目惚れをしたそうです。
しかし、入社時の自己紹介で「夫と子供の3人暮らしです」という紹介をしていたこともあり、あくまでも同僚の一人だと思おうと頑張っていた、と。
私にとって運命の相手は、夫ではなく、彼だったのかもしれません。